街角の母-若林ケン

差し出された手は指輪もなく

苦労の跡が滲んでいた

名前と干支を聞いたその時は

思わず我が耳を疑った

神様の悪戯にしても

あなたと出会うなんて

街角の母とそう呼ばれ

こんな日が来ようとは

思ってもみなかった

あなたは私の娘

ネオンの谷間の裏通りで

あなたの声は弱々しい

暮しに困り 子供を預けて

仕事かえようかと悩んでた

名乗れるはずなどないけれど

不憫で胸が痛む

街角の母になる前に

幼な子を置いたまま

家を出たあの夜を

悔やんでも悔やみ切れない

街角の母と人は呼ぶ

せめてもの罪ほろぼし

心からの祈りをこめて

父親にそっくりな

横顔を盗み見て

涙かくし こう言った

(科白)いーい、お子さんが小さいうちは、

離れて暮すなんて、考えちゃ駄目よ。

何があっても親子は一緒に居なくちゃ。

強い気持があれば、必ず天が味方してくれるから。

そうね、あなたの年廻りからすると、

今が人生で一番大変な時期ね。

でも、年があけると、上昇運に入るから、それまでの辛抱よ。

頑張って……。

お子さんと一緒に、幸せになってね。

発売日:2008-10-29

歌手:若林ケン

作詞:阿木燿子

作曲:宇崎竜童