木根川橋-さだまさし

『先生、俺達の木造校舎

すっかりなくなっちまったんですねェ

それに、あの暑い夏に重いローラー転がしてならした

テニス・コートの上にプールなんか出来ちまって…

先生、時の流れって、そんなもんですかねェ』

木根川橋から水道路抜けた

白髭神社の縁日は

アセチレンたいて あんずあめ売ってますか

相も変わらず にぎやかなんでしょうね

あの頃何やら覚えて居るのは

あの娘の笑顔と冷たさと

不思議な胸のどよめきと

あっけらかんとあっけらかんと

みんなみんな 許せた毎日

『先生、あの頃よくのりちゃんと銭湯行ってね

あいつときたら、15番の下駄箱があくまでは

どんな雪の中だって雨の中だって中へ入らなかった

先生、覚えているかな、うちのクラスの15番、そう

目のステキなのりの好きだったあの娘の

出席番号だったんですよ』

僕らはこっそり ノォトの片隅に

あの娘の名前に 自分の苗字を

かぶせて書いてはあわててぬりつぶし

あたりを見廻し 赤くなったもんです

使いの帰りは廻り道をして

あの娘の家の前を通ったもの

そのくせ会えば そっぽを向いた

なんともはや すてきだった

仲間達に カンパイ!!

木根川薬師の植木市の日には

今でも必ず雨が降りますか

もんじゃ焼きのコツ 忘れちゃいませんよ

カルメ焼き冷やすより易しかったもの

あの頃チャリンコ転がして行った

曵舟、押上、浅草の

不思議な胸の高鳴りと

荒川土手の忘れちゃいけない

毎度毎度の 草野球

『先生、みんな変っちまいましたねェ

先生、先生……なんだ寝ちまったんですか…』

発売日:2004-06-30

歌手:さだまさし

作詞:さだまさし

作曲:さだまさし