匂い-角松敏生

真昼のビル風とため息の中

舗道とシグナルが陽炎に舞う

通りをすれ違うひとときの間に

きらめく長い髪をほどいた女性

覚えのある香りに

振り返るとすぐに

あなたが好きだった

花を想い出してた

夏の匂い懐かしい

あの人の香り

雨上がりのアスファルト

むせかえるような

日々の彼方

流れる退屈なテレビが笑う

このまま過ぎて行く夜を見送る

孤独な一日を忘れるために

いつものようにまた髪を洗えば

覚えのある香りに

ふと手をとめていた

それはあなたがいた

遠い日の想い出

冬の匂い懐かしい

あの人の香り

白くけむるスチームで

汗をかいた窓

悲しすぎて

誰でも記憶の中

香りを抱きしめる

それは時を越えて

ふいに現れるもの

風の匂い移り行く

季節の香り

気づくたびに蘇る

想いがあるから

時の匂い遙かな日々に

見ていた

茜空に映るような

恋よもう一度

発売日:1999-01-21

歌手:角松敏生

作詞:TOSHIKI KADOMATSU

作曲:TOSHIKI KADOMATSU