クラゲになった日の話-杏沙子

あれはよく晴れた夏の日でした

朝から近所の図書館へ、涼みに

昨日は蒸して眠れなかったので

本に隠れて寝ようかと思って

食わず嫌いは直す気もない

きっとあなたを好きにはならない

手にとった小説の書き出しを

何度も読み返しているうちに

私はいつの間にか海の中にいて

ゆっくり漂っていました

ほんのり光るクラゲになって

何も考えることはなく

ただただ潮の流れに

身を任せているようでした

散らばった文字には気付かないまま

深く息をして、浮かんでゆく

それから沈みだした光をあつめて

大きな枕をこさえました

いつか聴いたようなうたで眠って

ずっと醒めることなどなく

ただただ潮の流れに

身を任せているようでした

発売日:2018-07-11

歌手:杏沙子

作詞:幕須介人

作曲:幕須介人